【日语天天听】旅に出たディオゲネス
旅に出たディオゲネス
ディオゲネスはギリシャの哲学者で、鋭い皮肉なことを言うのが上手な人でした。
ディオゲネスが旅に出て歩いて行きますと、川の岸に着きました。
川の水はまんまんと、溢れそうです。
ディオゲネスは、はたと困って、岸に立ったまま、途方にくれていました。
この川のそばに住んでいて、旅人たちを助けて川を渡らせるのを仕事にしている男がいました。
ディオゲネスが困っているのを見たこの男は、そばへ寄ってきて、ディオゲネスを自分の肩に載せました。
そして、向こう岸まで親切に運んでくれたのです。
無事に川を渡ることが出来たディオゲネスは、親切な男にお礼をしたいと思いましたが、とても貧乏なので、お礼が出来ません。
「ああ、こんなに貧乏でなければ、この人にたっぷりお礼が出来るのに」と、残念に思いました。
「どうやって、感謝を表せばよいだろう」ディオゲネスは、すっかり考えこんでしまいました。
ディオゲネスがこうやって考えこんでいるうちに、相手の男は、川の向こうに別な旅人が来たのを見つけると、さっさと川を渡って向こう岸へ戻りました。
そして、さっきと同じように、肩に載せて渡してやりました。
それを見たディオゲネスは、男に近づいて、こう言いました。
「わたしは、もうあなたにお礼をしたいとは思いませんよ。わたしがディオゲネスだと分かったから、親切にしてくれたと思ったのに、そうではなくて、あなたはただ、誰かれなしに川を渡らせるのが趣味なのだから」
このお話しは、誰にでも親切にする人は、親切な人だと感謝されるよりも、変わった人だと思われる方が多いということを教えています。
皮肉(ひにく):讽刺,挖苦。
まんまん:满满当当。
溢(あふ)れる:溢出。
はたと:一下子。
途方(とほう)にくれる:想不出办法,无路可走。
たっぷり:充分,足够。
考えこむ:沉思,苦想。
さっさと:迅速地。
旅行的第欧根尼
第欧根尼是希腊的哲学家,他是一个很会说尖锐的讽刺话的人。
第欧根尼去旅行,他走到河岸边。
河水满满的要溢出来了。
第欧根尼一下子很为难,站在岸上,毫无办法。
有一个住在河边,以帮旅人过河为工作的人。
看见第欧根尼为难,那个人来到他跟前,把他背到了自己的肩上。
然后,好心地把他运到了河对岸。
平安过河的第欧根尼想感谢一下这个好心的人,可是他很穷,拿不出谢礼。
他遗憾地想:我要不是这么贫穷,就能给他很多谢礼呀。
“怎么样来表达我的感谢才好呢?”第欧根尼完全陷入沉思。
就在他这样思索的时候,那个人发现河对岸别的旅人来了,就赶快地过河回到了岸边。
然后就像刚才一样,把他们背在肩膀上过了河。
见此,第欧根尼走近那个人这样说道:“我已经不想感谢你了。我以为你是因为知道我是第欧根尼,才好心地对待我,原来并非如此,你只是把帮别人过河当作兴趣,不管他是谁。”
这个故事告诉我们,对谁都好心的人,很少会被人感谢是好心人,更多会被人认为是奇怪的人。
无邻庵
小川治兵卫
京都